助産師直伝!会陰マッサージのやり方。イラストで切開・裂傷予防

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出産が近づくにつれて「会陰切開や裂傷が怖い…」と不安に感じるプレママさんは多いのではないでしょうか。出産の痛みは避けられないものだとしても、できることなら少しでも和らげたいですよね。そんな不安を解消するための一つの方法が、自宅でできるセルフケアです。

この記事では、助産師が推奨する会陰マッサージの正しいやり方を、イラストを交えながら分かりやすく解説します。適切な時期やオイルの選び方、注意点まで詳しくご紹介するので、安心して出産準備を進めることができますよ。

目次

会陰マッサージは出産時の痛みや裂傷を予防する

会陰マッサージは、妊娠後期に行うセルフケアの一つです。会陰部の皮膚や筋肉をオイルで柔らかくし、伸縮性を高めることで、出産時の会陰裂傷や会陰切開のリスクを軽減する効果が期待できます。産後の回復をスムーズにするためのお守りとして、多くの産院でも推奨されています。

会陰切開や裂傷の不安を軽くするセルフケア

会陰とは、膣と肛門の間にある皮膚や筋肉の部分を指します。出産時に赤ちゃんの頭が通る際、この部分が伸びきれずに裂けてしまうのが会陰裂傷です。会陰マッサージは、この会陰を事前に柔らかくし、伸びやすくしておくことで裂傷を予防する目的があります。

ある研究では、会陰マッサージを継続して行うことで、会陰裂傷の発生率が低下したという報告もあります。事前にケアをすることで、出産に対する漠然とした恐怖や不安を和らげる精神的なメリットも大きいでしょう。

マッサージで期待できる3つの嬉しいメリット

会陰マッサージを続けることで、出産時や産後に嬉しい効果が期待できます。具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。それぞれのポイントを理解し、毎日のケアのモチベーションにつなげましょう。

身体と心の両面で、お産に向けての準備ができるのが大きな利点です。

  • メリット1:会陰裂傷・会陰切開のリスク軽減
    皮膚の伸縮性が高まり、赤ちゃんがスムーズに出てきやすくなります。
  • メリット2:産後の痛み緩和と回復促進
    傷が小さく済むことで、産後の痛みや排泄時のつらさが軽減されます。
  • メリット3:出産への自信と心構え
    自分でケアをすることで、「お産と向き合っている」という自信につながります。

知っておきたい会陰マッサージのデメリット

多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点も存在します。まず、正しい方法で行わないと、逆に痛みを感じたり、雑菌が入って感染症を引き起こしたりする可能性があります。清潔な手で行い、絶対に無理をしないことが大切です。

また、マッサージをすれば必ず裂傷を防げるというわけではありません。赤ちゃんの大きさや産婦さんの体質、お産の進み方など様々な要因が関係します。あくまで「リスクを軽減するためのお守り」と捉え、リラックスして取り組むことが重要です。

会陰マッサージを始める時期と準備するもの

「いつから始めればいいの?」「特別なものが必要?」と気になる方も多いでしょう。会陰マッサージは、お腹の張りがなく体調が良い日であれば、妊娠後期から手軽に始めることができます。必要なものはシンプルで、すぐに準備できるものばかりです。

妊娠34週頃から毎日続けるのがおすすめです

会陰マッサージを始めるのに最適な時期は、一般的に妊娠34週頃からといわれています。正産期に入る妊娠37週(臨月)以降は、毎日行うのが理想的です。もちろん、無理は禁物なので、週に数回からでも問題ありません。

大切なのは、一度に長く行うことよりも、短い時間でも継続することです。お風呂上がりなど、体が温まってリラックスしている時間帯を習慣にすると、続けやすくなりますよ。

準備は専用オイルと清潔なタオルだけでOK

会陰マッサージに必要なものは、とてもシンプルです。マッサージに使うオイルと、終わった後に体を拭いたり、ショーツが汚れないように敷いたりするための清潔なタオルがあれば十分です。始める前には必ず手を綺麗に洗い、爪を短く切っておきましょう

マッサージ後は、オイルが下着に付着することがあります。気になる方は、おりものシートやナプキンを当てておくと快適に過ごせます。専用の道具は必要なく、誰でも手軽に始められるのが魅力です。

助産師おすすめのオイルの選び方と種類

マッサージに使うオイルは、デリケートゾーンに直接塗るものなので、肌に優しいものを選びましょう。赤ちゃんにも使えるような、純粋な植物性オイルがおすすめです。香料や添加物が含まれているものは避け、成分表示をしっかり確認しましょう。

初めて使うオイルは、必ず腕の内側などでパッチテストを行い、アレルギー反応が出ないか確認してください。代表的なオイルには以下のようなものがあります。

オイルの種類 特徴
カレンデュラオイル 皮膚の保護や修復作用に優れ、産院でもよく使われます。
スイートアーモンドオイル ビタミンEが豊富で、肌を柔らかくする効果が期待できます。
ホホバオイル 人の皮脂に近い成分で肌なじみが良く、保湿力が高いです。

イラストで解説!会陰マッサージの正しいやり方

ここでは、具体的なマッサージの方法をステップごとに解説します。やり方さえ覚えれば、誰でも簡単に行うことができます。成功の秘訣は、とにかくリラックスすること。焦らず、ご自身の体と対話するように、優しくケアしてあげましょう。

始める前に確認!リラックスできる環境づくり

マッサージを始める前に、まずは心と体が安らぐ環境を整えましょう。トイレは済ませておき、部屋の温度を快適に保ちます。背中にクッションや枕を置いて少し上体を起こした体勢や、横向きの姿勢がやりやすいでしょう。

スマートフォンなどは一旦置いて、好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするのもおすすめです。心からリラックスできる時間を作ることが、マッサージの効果を最大限に引き出す第一歩です。

基本の5ステップ!指を使ったマッサージ方法

準備が整ったら、実際にマッサージを始めましょう。以下の手順に沿って、ゆっくりと丁寧に行ってみてください。痛みを感じる場合は、無理に指を入れず、会陰の表面にオイルを塗るだけでも効果があります

「気持ちいい」と感じるくらいの力加減がポイントです。

  1. 清潔な指(親指または人差し指と中指)に、オイルを500円玉大ほど取ります。
  2. 膣口から会陰部全体にオイルを優しく塗り広げます。
  3. 親指の第一関節から第二関節まで(約3~4cm)を、ゆっくりと膣内に挿入します。
  4. 膣の中から、肛門の方向(時計の6時の方向)に向かって、じんわりと圧をかけます。
  5. 次に、4時から8時の範囲を「Uの字」を描くように、ゆっくりと優しく伸ばしていきます。

お風呂の中で行うと筋肉がほぐれて効果的

マッサージを行うタイミングとして特におすすめなのが、お風呂の中やシャワーの後です。体が温まることで血行が良くなり、会陰周辺の皮膚や筋肉が柔らかくほぐれた状態になります。これにより、マッサージの効果が高まりやすくなります。

また、お風呂場ならオイルで汚れる心配もありません。ただし、浴槽内で行う際は滑らないように十分注意してください。リラックスタイムを兼ねて、日々のバスタイムに会陰マッサージを取り入れてみるのがおすすめです。

コットンを使った簡単なオイルパックもおすすめ

指を膣内に入れることに抵抗がある方や、時間がない時には、オイルパックという簡単な方法もあります。やり方はとてもシンプルで、オイルをたっぷり含ませたコットンを会陰部に当てるだけです。パック時間は5分から10分程度で十分です。

美容マスクのような感覚で、手軽に保湿と血行促進ができます。お風呂上がりにこのオイルパックをするだけでも、会陰部を柔らかく保つ助けになります。マッサージと組み合わせて行うとさらに効果的なので、ぜひ試してみてください。

夫と一緒にできる!パートナー協力マッサージのコツ

妊娠後期になるとお腹が大きくなり、自分で会陰部を見るのも触るのも難しくなってきます。そんな時は、ぜひパートナーに協力してもらいましょう。二人で協力することで、身体的な負担が減るだけでなく、出産に向けて絆を深める良い機会にもなります。

お腹が大きい時に頼れるパートナーケアの方法

パートナーにマッサージをしてもらう場合、産婦さんは楽な姿勢を保つことができます。おすすめは、クッションなどを抱いて横向きに寝る「シムスの体位」です。この体勢はお腹への圧迫が少なく、リラックスしやすいとされています。

パートナーは、産婦さんの後ろからマッサージを行います。セルフケアでは難しい角度からもアプローチしやすく、より均等に圧をかけることができます。安心して身を委ねられるので、リラックス効果も高まるでしょう。

力を入れすぎない優しいマッサージの伝え方

パートナーに協力してもらう上で最も大切なのは、コミュニケーションです。どのくらいの力加減が心地よいかは、本人にしか分かりません。「痛くない?」「もう少し優しく」など、感じたことを素直に伝えるようにしましょう。

マッサージをする側は、爪を短く切り、手を清潔にすることはもちろん、絶対に力を入れすぎないように注意が必要です。「皮膚を優しく伸ばす」という意識で、愛情を込めて触れることが、お互いの安心感につながります。

会陰マッサージで注意すべきことと実施のポイント

会陰マッサージは多くのメリットが期待できるケアですが、安全に行うためにはいくつかの注意点があります。自分の体の声に耳を傾け、決して無理をしないことが大原則です。少しでも異常を感じたら、すぐにかかりつけの医師や助産師に相談しましょう。

痛みを感じたら無理せずマッサージは中断する

マッサージ中に、ヒリヒリとした痛みや強い圧迫感を感じた場合は、すぐに中断してください。それは、力が強すぎるか、皮膚がまだ十分に伸びていないサインかもしれません。痛みを我慢して続けると、かえって組織を傷つけてしまう可能性があります。

無理に指を深く入れたり、強く伸ばしたりする必要はありません。まずは会陰の表面にオイルを塗って保湿することから始め、徐々に慣らしていくのが良いでしょう。心地よいと感じる範囲で行うことが、継続の秘訣です。

体調が悪い時やお腹が張る時はお休みしましょう

ご自身の体調を最優先に考え、少しでも不安な症状がある時はマッサージをお休みしてください。特に、以下のような場合は会陰マッサージを行うべきではありません。安全な出産のためにも、自己判断せず慎重になりましょう。

自分の体調をしっかり観察し、リラックスして行える日だけにすることが大切です。

  • お腹の張りや痛みを感じる時
  • 出血がある、または破水した時
  • カンジダなどの感染症にかかっている時
  • 切迫早産と診断されている時
  • その他、体調がすぐれない時

まとめ:正しい会陰マッサージで出産への不安を解消

会陰マッサージは、出産時の会陰裂傷や切開のリスクを減らすための有効なセルフケアです。妊娠34週頃から、植物性オイルを使って毎日コツコツ続けることで、会陰の皮膚を柔らかくし、お産のダメージを和らげる効果が期待できます。

何よりも大切なのは、リラックスして無理のない範囲で行うことです。この記事で紹介した正しいやり方や注意点を参考に、ご自身の体と向き合う時間を作ってみてください。適切なケアは、出産への不安を自信に変えるお守りとなってくれるでしょう。

会陰マッサージのやり方でよくある質問

会陰マッサージは1回何分くらい行いますか?

会陰マッサージは、1回あたり5分から10分程度を目安に行いましょう。長時間行う必要はなく、むしろ短い時間でも毎日続けることが大切です。お風呂上がりなど、リラックスできる時間に習慣として取り入れるのがおすすめです。

最初のうちは1〜2分から始め、慣れてきたら徐々に時間を延ばしていくと良いでしょう。心地よいと感じる範囲で、無理なく続けられるペースを見つけてください。

マッサージによるデメリットやリスクはありますか?

正しい方法で行えば基本的に安全ですが、いくつかのリスクも存在します。最も注意すべきなのは感染症です。必ず清潔な手で行い、爪を短く切っておきましょう。また、力を入れすぎると痛みや炎症を引き起こす可能性があります。

お腹の張りや出血など、体調に異変がある時は絶対に行わないでください。少しでも不安な点があれば、自己判断せずにかかりつけの医師や助産師に相談することが重要です。

そもそも会陰が切れてしまう原因は何ですか?

出産時に赤ちゃんの頭が産道を通る際、会陰部の皮膚や筋肉が急激に引き伸ばされます。この時、皮膚の伸展が限界を超えてしまうと、裂けてしまうことがあります。これを会陰裂傷と呼びます。

特に初産婦さんや、赤ちゃんの頭が大きい場合、急な進展があった場合などに起こりやすいとされています。会陰マッサージは、この伸展に備えてあらかじめ皮膚を柔らかくしておくことで、裂傷のリスクを軽減する目的があります。

オイルは無印やベビーオイルでも代用できますか?

オイルを選ぶ際は、デリケートゾーンに使うものなので成分に注意が必要です。無印良品などで販売されているホホバオイルやスイートアーモンドオイルといった純粋な植物性オイルは使用可能です。ただし、必ずパッチテストを行ってください。

一方、一般的なベビーオイルは石油を原料とする鉱物油(ミネラルオイル)が主成分のことが多く、皮膚呼吸を妨げる可能性があるため会陰マッサージにはあまり向きません。肌への浸透性が高い植物性オイルを選ぶのが安心です。

セルフケアが難しい場合はどうすればいいですか?

お腹が大きくなると、自分でマッサージをするのが難しい体勢になります。そんな時は無理をせず、パートナーに協力をお願いするのも一つの方法です。コミュニケーションを取りながら、二人で出産準備を進める良い機会になります。

それが難しい場合や、指を入れることに抵抗がある方は、コットンにオイルを浸して会陰部に当てる「オイルパック」だけでも試してみてください。保湿するだけでも皮膚は柔らかくなるので、できる範囲でケアを続けることが大切です。

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