出産育児一時金の手続き|初めてでも迷わない申請方法と必要書類

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初めての出産を控え、期待と同時に「お金のことはどうしよう…」と不安に感じていませんか。特に、出産育児一時金は名前は聞くけれど手続きが複雑そうでよく分からない、という方も多いでしょう。初めての妊娠では、わからないことがたくさんありますよね。

この記事では、出産育児一時金の基本から3つの受取方法、パターン別の手続き、必要書類までを解説します。ご自身に合った申請方法が分かり、安心して出産準備を進められるようになります。スムーズに手続きを終えて、心穏やかに出産の日を迎えましょう。

目次

出産育児一時金とは?まず基本を知ろう

出産育児一時金とは、出産にかかる経済的な負担を軽くするために、健康保険から支給されるお金です。高額になりがちな出産費用を補助してくれる、ママと赤ちゃんのための心強い制度です。まずは、この制度の基本的な仕組みを理解しましょう。

この制度を利用すれば、病院の窓口での支払いを大幅に減らしたり、後から給付を受けたりできます。これから解説する受取方法や対象者の条件を確認し、ご自身が利用できるかしっかりと把握しておきましょう。

もらえる金額は原則50万円です

出産育児一時金として支給される金額は、赤ちゃん一人につき原則50万円です。これは2023年4月の出産から増額された金額で、多くの家庭にとって大きな助けになります。双子を出産した場合は、2人分の100万円が支給されます。

ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産や、妊娠22週未満の出産では支給額が48.8万円です。出産予定の産院が制度に加入しているか、事前に確認しておくと安心でしょう。

対象となるのは健康保険の加入者

出産育児一時金の対象となるのは、会社の健康保険や国民健康保険など、公的な医療保険に加入している方です。被保険者本人だけでなく、その被扶養者(例えば、夫の扶養に入っている妻)が出産した場合も対象になります。

正社員やパートといった働き方にかかわらず、健康保険に加入していれば支給の対象となるのでご安心ください。ご自身がどの健康保険に加入しているか、保険証で確認することが手続きの第一歩です。

流産や中絶でも対象になる場合があります

残念ながら流産や死産、あるいは経済的な理由で中絶を選択した場合でも、出産育児一時金の対象となることがあります。具体的には、妊娠4か月(85日)以降の出産が対象です。これは、正常な出産と同じように身体的な負担がかかるためです。

この場合、医師による証明が必要となるため、まずはかかりつけの産婦人科医に相談してみてください。つらい状況だとは思いますが、利用できる制度があることを覚えておきましょう。

出産育児一時金の3つの受取方法

出産育児一時金の受け取り方には、主に3つの方法があります。それぞれ特徴が異なるため、ご自身の状況や出産する病院に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。最も一般的なのは「直接支払制度」で、多くのママが利用しています。

この制度のおかげで、多額の出産費用を事前に用意する必要がなくなりました。これから「直接支払制度」「受取代理制度」「産後申請方式」という3つの方法を詳しく見ていきましょう。

病院が直接受け取る直接支払制度

直接支払制度は、健康保険から医療機関へ出産育児一時金が直接支払われる仕組みです。窓口での負担が軽くなるのが最大のメリットで、退院時は50万円を超えた差額分だけを支払います。多くの産院がこの制度に対応しています。

手続きも簡単で、出産する病院で保険証を提示し、制度利用の合意文書にサインするだけです。事前の面倒な申請が不要なため、出産準備で忙しいママにとって非常に便利な方法といえるでしょう。

病院が代理で申請する受取代理制度

受取代理制度は、直接支払制度を導入していない小規模な医療機関などで利用できる方法です。この制度では、ママが事前に健康保険へ申請することで、医療機関が本人に代わって一時金を受け取ってくれます

直接支払制度と似ていますが、こちらは出産前に自分で申請手続きを行う必要がある点が異なります。出産予定日の2か月前から申請できるため、利用する場合は早めに準備を始めましょう。

退院後に自分で申請する産後申請方式

産後申請方式は、退院時に出産費用を自分で全額支払い、後から健康保険に申請して一時金を受け取る方法です。「償還払い」とも呼ばれ、一時的にまとまったお金を立て替える必要があります。

海外での出産や、クレジットカードで支払いたい場合に選ばれます。退院後に自分で手続きをする手間はかかりますが、支払い方法の自由度が高いのが特徴です。

【パターン別】出産育児一時金の手続きの流れ

どの受取方法を選ぶかによって、手続きのタイミングや手順は大きく異なります。ご自身の状況を整理し、どのパターンに当てはまるかを確認することが、スムーズな申請への近道です。初めての出産準備はやる事が多く、手続きは効率的に進めたいですよね。

ここでは「直接支払制度」「産後申請」「夫の扶養に入っている場合」「退職後」という4つのパターンに分けて、具体的な手続きの流れを解説します。ご自身に最も近いケースを参考にしてください。

直接支払制度なら病院での手続きが中心

直接支払制度を利用する場合、手続きは非常にシンプルです。入院手続きの際、産院の窓口で健康保険証を提示し、「直接支払制度合意文書」に記入・提出するだけで完了します。

出産後は、産院から渡される費用の明細書を確認し、50万円を超えた分だけを支払います。面倒な書類集めや役所への申請は不要で、ほとんどの手続きが病院内で完結するのが魅力です。

産後申請は自分で健康保険に手続き

産後申請方式を選ぶ場合は、退院後に自分で手続きを行います。まず、加入している健康保険(健康保険組合や市区町村の役所など)から「出産育児一時金支給申請書」を入手してください。提出先は保険証で確認できます。

申請書に必要事項を記入し、出産費用の領収・明細書の写しなどを添付して提出します。申請期限は出産の翌日から2年以内ですが、忘れないうちに早めに手続きを済ませるのがおすすめです。

夫の扶養に入っている場合の手続き方法

専業主婦やパート勤務で夫の扶養に入っている場合、夫が加入している健康保険から出産育児一時金が支給されます。手続きは、夫の勤務先を通じて行うのが一般的です。

まずは夫の会社の総務や人事担当部署に、出産予定であることを伝えて必要な書類や手順を確認しましょう。申請者や振込先口座の名義が夫になる場合が多いため、事前に確認しておくとスムーズです。

退職後でも受け取れる条件と手続き

妊娠を機に退職した場合でも、一定の条件を満たせば、以前の会社の健康保険から出産育児一時金を受け取れます。条件は「退職日まで1年以上継続して被保険者だったこと」「退職後6か月以内の出産であること」の2つです。

この場合、退職した会社の健康保険組合などへ直接申請します。国民健康保険からも受け取れますが、二重で受け取ることはできないので注意しましょう。

出産育児一時金の手続きに必要な書類一覧

出産育児一時金の申請をスムーズに進めるには、事前の書類準備が肝心です。申請方法によって必要な書類が少しずつ異なるため、ここでしっかり確認しましょう。産後の準備と合わせて、書類も早めに揃えておくと安心です。

不備があると支給が遅れてしまう可能性もあるため、提出前には必ずチェックしてください。以下に、主な必要書類をまとめましたので、参考にしてくださいね。

  • 健康保険証:加入している健康保険を確認するために必須です。
  • 母子健康手帳:出産したことを証明する書類として提示を求められることがあります。
  • 本人確認書類:マイナンバーカードや運転免許証など。
  • 振込先口座がわかるもの:通帳やキャッシュカードの写し(産後申請や差額申請の場合)。
  • 出産育児一時金支給申請書:産後申請の場合に必要。健康保険のサイトからダウンロードできます。
  • 出産費用の領収・明細書の写し:産後申請の場合に必要です。
  • 直接支払制度の合意文書:直接支払制度を利用する場合、病院で署名します。

【共通】本人確認書類と母子健康手帳

どの申請方法でも、手続きの際には本人確認書類と母子健康手帳の提示を求められることがほとんどです。申請者が本人であること、そして確実に出産したことを証明するために必要となります。

本人確認書類はマイナンバーカードや運転免許証が一般的です。母子健康手帳は、出産した医療機関で「出生届出済証明」のページに証明をもらっておきましょう

【直接支払制度】病院で合意文書に署名

直接支払制度を利用する場合、自分で用意する書類はほとんどありません。最も重要な手続きは、入院時などに病院から渡される「直接支払制度合意文書」に署名・捺印することです。

この書類へのサインは、健康保険から病院へ一時金を直接支払うことに同意した証です。あとは病院側が手続きを進めてくれるので、ママの手間はかかりません。

【産後申請】支給申請書と領収書の写し

産後申請(償還払い)で手続きをする場合、いくつかの書類を自分で揃える必要があります。中心となるのは「出産育児一時金支給申請書」と「出産費用の領収・明細書の写し」です。

申請書には、被保険者情報や振込先口座などを正確に記入してください。領収書は「産科医療補償制度の対象分娩です」というスタンプが押されているかを確認しましょう。

出産費用が一時金を下回った場合の差額申請

出産費用は人それぞれで、実際の費用が支給額の50万円を下回ることもあります。その場合、差額はきちんと受け取ることができるのでご安心ください。

例えば、出産費用が45万円なら差額の5万円が後から振り込まれます。「一時金が余ったらどうなるの?」と心配する必要はありません。ここでは、その差額分の申請方法について解説します

差額分の申請手続きと必要書類

直接支払制度を利用した場合、出産から2〜3か月後に健康保険から「出産育児一時金差額申請書」が自動的に送られてくることがほとんどです。この書類に記入し返送するだけで手続きは完了します。

もし書類が届かない場合は、加入している健康保険に問い合わせてみましょう。産後申請の場合は、最初の申請時に差額が計算されて振り込まれるため、追加の手続きは不要です。

差額はいつ頃振り込まれるの?

差額分の申請書を提出してから、実際に口座に振り込まれるまでの期間は健康保険によって異なります。一般的には、申請から1〜2か月後が目安とされています。

申請書に不備があると、確認のためさらに時間がかかることがあります。正確な時期を知りたい場合は、保険証に記載されている保険者に問い合わせるのが確実です。

よく似た制度の出産手当金との違い

出産前後にもらえるお金として、出産育児一時金と混同されがちなのが「出産手当金」です。この2つは名前が似ていますが、支給の目的や対象者が異なる全く別の制度です。違いを正しく理解し、もらえるお金はしっかり受け取りましょう。

働くママにとって、どちらも大切な収入源となります。条件を満たせば両方とも受け取ることができるので、それぞれの特徴を把握しておくことが重要です。

対象者と支給の目的が異なります

最大の違いは目的と対象者です。出産育児一時金は「出産費用の補助」が目的で、健康保険の加入者全員が対象です。一方、出産手当金は「産休中の生活保障」が目的で、会社の健康保険に加入する被保険者本人のみが対象です。

つまり、夫の扶養に入っている専業主婦の方は出産手当金の対象外となります。以下の表で違いを整理してみましょう。

出産育児一時金 出産手当金
目的 出産費用の補助 産休中の生活保障
対象者 健康保険の加入者および被扶養者 会社の健康保険に加入する被保険者本人
支給元 健康保険 健康保険

条件を満たせば両方受け取れます

産休を取得して働くママは、出産育児一時金と出産手当金の両方を受け取ることができます。出産費用は一時金で、産休中の生活費は手当金で、という形で活用できます。

どちらも自動的に支給されるわけではなく、それぞれ申請が必要です。出産手当金の詳しい手続きについては別の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

まとめ:出産育児一時金の手続き早見表

今回は、出産育児一時金の手続きについて詳しく解説しました。初めての出産では戸惑うことも多いですが、手続きの流れを事前に知っておくだけで心に余裕が生まれます。ご自身に合った申請方法を選び、スムーズに手続きを進めてくださいね。

最後に、3つの受取方法の特徴を早見表にまとめました。この表を見返して、ご自身の状況と照らし合わせながら、出産準備を進めていきましょう。

受取方法 特徴 手続きのタイミング 主な手続き場所
直接支払制度 窓口での負担が少ない。最も一般的。 入院時〜退院時 出産する病院・産院
受取代理制度 事前申請が必要。小規模な病院で対応。 出産予定日の2か月前〜 健康保険+病院
産後申請方式 一度全額を立て替える必要がある。 出産・退院後 加入している健康保険

出産育児一時金手続きのよくある質問

ここでは、出産育児一時金の手続きに関して、多くのプレママさんから寄せられる質問にお答えします。細かい疑問点を解消し、スッキリした気持ちで出産に臨みましょう。

ここにない質問がある場合は、ご自身が加入している健康保険の窓口や、出産予定の病院に直接問い合わせてみてください

出産育児一時金の申請はいつまでにすればいい?

出産育児一時金の申請期限は、法律で「出産の翌日から2年以内」と定められています。2年を過ぎると時効となり、申請する権利がなくなるため注意が必要です。

とはいえ、産後は赤ちゃんのお世話で忙しくなりがちです。直接支払制度を利用しない場合は、忘れないうちに退院後1〜2か月以内を目安に手続きを済ませることをおすすめします。

申請手続きは会社がしてくれるの?

会社の健康保険に加入していても、基本的に申請手続きは自分で行う必要があります。会社が手続きを代行してくれるケースは稀なので、自分から行動することが大切です。

ただし、申請書の入手や提出方法について、会社の総務や人事部がサポートしてくれることはあります。まずは勤務先の担当部署に、手続きの流れを確認してみましょう

申請しないと自動でもらえないの?

はい、出産育児一時金は、自分から申請しないと自動的にもらうことはできません。出産したという事実だけで健康保険からお金が振り込まれることはないため、必ず手続きが必要です。

最も簡単な直接支払制度でさえ、病院で利用の意思表示(合意文書への署名)が求められます。どの方法を選ぶにせよ、「申請」という行動を忘れないようにしましょう

申請してからいつ振り込まれる?

産後申請方式で申請した場合、振込までの期間は健康保険組合などによって異なりますが、一般的に申請書を提出してから1〜2か月後が目安です。書類に不備があると、さらに時間がかかることがあります。

直接支払制度を利用して差額が発生した場合も同様で、差額申請書を提出してから1〜2か月後に振り込まれます。少し時間がかかることを念頭に置いておくとよいでしょう。

一時金がもらえないケースはある?

出産育児一時金がもらえないケースはいくつかあります。最も考えられるのは、日本の公的医療保険(健康保険や国民健康保険など)に加入していない場合です。また、申請期限の2年を過ぎた場合も支給されません。

その他、海外の保険のみに加入して日本で出産した場合や、虚偽の申請をした場合なども対象外です。通常、きちんと保険料を納めていれば、もらえない心配はほとんどありません

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